【八峰キレット】扇沢ー爺ヶ岳ー鹿島槍ヶ岳ー五竜岳ー唐松岳ー八方尾根


- GPS
- 51:30
- 距離
- 28.8km
- 登り
- 3,453m
- 下り
- 3,025m
コースタイム
- 山行
- 4:29
- 休憩
- 1:02
- 合計
- 5:31
- 山行
- 7:14
- 休憩
- 1:14
- 合計
- 8:28
- 山行
- 4:31
- 休憩
- 0:39
- 合計
- 5:10
天候 | いずれの日も晴れのち夕立 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
・扇沢までバスで移動 ・八方尾根に下山後、白馬駅まで徒歩 ・白馬駅から信濃大町駅まで電車で戻って車を回収 |
コース状況/ 危険箇所等 |
鹿島槍ヶ岳の南峰から五竜岳までの長丁場はスタミナ注意 |
その他周辺情報 | 八方尾根下山後に、みみずくの湯へ |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
ハイドレーション
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
携帯
時計
ストック
カメラ
ヘルメット
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感想
一年に何度かの天候チャンス 計画いただき山小屋の予約が取れたので2泊3日の縦走と相成りました
八峰キレットは三大キレットのひとつとされますが「この道は簡単」「これは難しい」というのは言及しません
そもそも登山道の確立していない山を登れば家の裏山でだって人は簡単に遭難しますし、悲しい事故ケースを耳にします
登山道の難易度なんていくらでも上げられますし 高難易度とされる場所についての「鎖要らなかった笑」 「ここは簡単だった笑」自慢の類は基本的にすべて害悪で読む価値無しというか
それを読んだ人がスキル・装備重量・天候・登山道の混雑度合いなどを加味せずに無茶な行動をして事故にあうことの想像ができないのだろうな、せめて仲間内に留めてほしいなと感じてしまいます
さて、北アルプス縦走の機会ごとに強く感じるのはメジャーなルートの整備が異常に行き届いていることで、あれだけの大人数が行き来しても事故数が抑えられているのは道中に真の危険箇所をなるべく作らないようにして事故を減らそうという努力のたまものです
登山道整備の現場に行き当たったり整備の痕跡を見つけるたびに、一定の体力・装備・スキルを持ち適切な計画のもとに行動する登山者向けに設計・実装・運用されている「「一般登山道」」という箱庭で比較的安全にレジャーとして楽しませてもらっている、ルート経験者と一緒に行くなら尚更、という自覚が強くなります
これら登山道は北アルプスの山小屋の収益に支えられてきた部分が大きいのですが、登山がメジャーな趣味化してインバウンド需要も取り込めつつある好ましいはずの状況ながら山小屋は瀕死状態にあります
まず、コロナ禍で北アルプスの山小屋は完全予約制・宿泊配置もグループごとの間隔を取る運用をしています
かつて激混みで有名とされた五竜山荘の定員16名と記された区画が今回2グループ4名で「満室」となって広々と使えたのはありがたいですが
これは経済的に立ち行かないなと正直思いました
ピークシーズンに稼働率25%しか予約を取れないとか、歯がゆさを想像するに余りあります
これは五竜山荘の話ではありませんが、大人数での宴会禁止と注意喚起される中で10名超で大声を出して宴会しているグループが居ても 彼らは利幅のあるビールやウィスキー・乾き物を最も購入する人々でもあるため山小屋スタッフさんとしても見てみぬふり、となるのを責められるものではないでしょう
小屋としては小屋スタッフを守りつつ大規模感染の風評が立たないことを祈るぐらいしか根本的に出来ることはないので、私はせめて「なるべくマスク着用をお願いします」というもはやほとんどの人の目に触れていない注意書きに従ってマスク着用して会話を控える、ぐらいしか出来ることはないなと無力感をおぼえました
また、原油高によるヘリ荷揚げ料金高騰の影響も強く感じます
今回 ポカリスエット500mlペットボトルの価格は小屋によって異なり500-700円で、登山者にとって恵みの好天の裏返しである雨の少なさ・水備蓄の乏しさも相まって1人あたり1-2本といった購入制限をかけている小屋が多くありました
それでもソフトドリンクは登山者ライフラインの一部として販売している色合いが強く 登山者からは高い高いとブーブー言われつつこれらを販売しても大した収益にはならないだろうな、と感じます
水不足となるとスポーツドリンクの売上が伸びるのが道理ですが、ピークシーズンに大量販売することに経済合理性のあるそれら商材の在庫確保に苦労して購入制限しているということは荷揚げスケジュールか単価面の折り合いが崩壊していると想像できるためです
五竜山荘ではトイレに設置された手洗い用の水道に水不足のため用途制限(手洗い・歯磨き以外の利用不可)の旨を記載しており、これが単なるポーズではないと感じさせる、次のような出来事がありました
たまたま食堂で聞こえてきた
「日焼け止めを落とすのに時間かかりますよね」
「えっ トイレのとこの水道で全然顔とか洗えますよ笑笑」
という会話に
厨房で作業をされていた小屋の方が手をとめて
「今 水不足なので水道での洗顔は止めてください」
と声を掛けてピリッとした空気が流れたところに登山者との温度差を感じました
下山時にすれ違った唐松岳頂上山荘へと飲料を歩荷している方の姿を思い出しつつ、ちゃんと日当出てるのかな、結局ほぼ無償ボランティアで広義のやりがい搾取なのではなかろうか、とぼんやり思うばかりでした
今回のような人気ルートではなく人があまり来ない小屋やその経路を通ってみると それらに通じる道が最低限の安全確保に終始しており歩きやすさに注力した登山道整備は出来ていないと感じます
これは文句を言っているわけではなくて、小屋の経済的余裕が関連ルートの歩きやすさに直結するということです
前述のように小屋の経済的健全性を保つのが難しい状況では これから手入れをしきれなくなり、これまでなんでもなかった道が難路になっていく、事故が増える、という未来を想像してしまいます
安全を守るために入山料の議論は頻繁に出ますし 入山料として強制されなければ人は払わないのでさっさと徴収すべきと感じます
冷池山荘には協力金入れが設置されていましたがほとんどの人は気付いてすらいないでしょうし、私もいくら入れるのが良いかなと思っているうちに忘れてしまって協力金を入れずじまいでした
水といえば、今回の山行で弊パーティーは幸い水の量に終始余裕を持つことができました
最終日に八方尾根をくだって頭の中が非日常から日常へ戻っていくなかで、二日目の五竜への上り詰め手前で休憩タイミングのかぶったパーティーの方が
「水がもうほとんど無いから喉の乾く行動食(確かパン)は食べない」
という発言をしていたことを思い出し、そのときは耳で流してしまいましたがよく考えるとあの方は行動食の摂取不足によるスタミナ不足と水不足による判断力低下のダブルパンチの危険一歩手前状況にあったのではと背筋が寒くなりました
自分たちの水に余裕があるのはわかっていたので予備用に持っていた未開封ペットボトルを差し出せたなと、この先はそういう気の配り方もできるようになりたいと思いました
個人的にはどの山も一度登ったことがあるので、今回は未踏区間である八峰キレットを歩くことが目的。コースタイムと夕立の可能性を考えて2日目は早めの出発としたが、多くの人が夜明け前に出発しているようだった。
鹿島槍から五竜岳はとにかく長い...集中力とスタミナを試されるコースだと感じた。以前行った大キレットと比較すると
◯大キレット
・3時間半くらい
・高度感あり
・ほぼ岩場のみで岩を掴みそこねたり、踏み外すとアウト
・岩のフリクションは効くので、上手く体重を乗せていければ大丈夫
◯八峰キレット(鹿島槍ー五竜岳間)
・5時間半くらい
・高度感はさほどなし
・急なザレ場ガレ場で転倒の可能性があり、運が悪いと転倒時に滑落する可能性
・岩場もあるが、ザレ場ガレ場の連続かつ段差が大きい。岩の表面に砂が乗っていて滑らないと思った岩も滑る
八峰キレットの方が長時間緊張を強いられれる感じで、個人的には大キレットの岩場の方が楽しみはあったかなと。後半の唐松岳頂上山荘の手前の牛首はまぁまぁ楽しいです
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