南アルプス全山縦走。正しい定義は曖昧だが、登山を初めてからずっと憧れを持っていた。
昨年、自分なりに準備をして挑戦したが、仙丈ヶ岳の手前で足を痛め、北沢峠から下山した。
その教訓を胸に、今年はより準備を整え再挑戦した。

　この手の記録は、少し調べれば結構沢山ある。今年でも池口岳から甲斐駒まで3日で抜けている記録もある。しかし、去年の自分には出来なかった。目標未達に至った要因を自分なりに考えて、やれる範囲で改善していった。
普段のランニングでも坂を走るようにして、週に1,2回は10kg背負ってランニング、2ヶ月前(遅いやろ)からジムに入会してバーベルスクワット、仕事終わりから寝ずに登山口まで車を走らせそのままツェルト泊登山、お金を結構使って荷物の軽量化を実施。
そんな努力(自分的には頑張りました)の甲斐もあり、天候にも恵まれ無事に予定通りに歩き通す事が出来た。去年の自分と比べ、今年の自分が成長出来た事が本当に嬉しい。


*小河内岳手前はスマホ操作ミス、南御室小屋〜夜叉神峠付近はスマホの不調でログが飛んでいるが、ちゃんと歩いたんでよろしくお願いします。


☆☆☆

以下、後日追記


○山行計画

　山行6日、予備日1日の計7日で計画。池口岳登山口から縦走をしたかったので、登山口近辺の宿を物色。駅と温泉が併設という面白さに引かれ、平岡駅の龍泉閣に前泊とした。
今年は(も？)南アルプスは毎日のようにお昼から午後早くに雷雨の夕立、という天候の日が続いていた為、落雷のリスクを出来るだけ少なくするように考えた。
入山が遅くなる初日の行程に迷ったが、元気な内に距離を伸ばしたいのと、イザルガ周辺以外は茶臼岳までは樹林帯でなんとか出来そうなので、オーバーナイトの行動として天気の様子を見ながら荒川小屋までとした。
3日目以降は夕立前に樹林帯に入れるように極力努力した。(3日目に早くも夕立に捕まりかけたが、運良くそれてくれた。)


○主な装備品
　
　ベースウェイトは5kgちょっと、食料5kg、水は2Lから3L、合計12,3kgでスタート。帰宅後に水抜きの重量を測定したが7.3kg。食料はほぼ全て消費したのに計算が合わない。山行前の計測が間違っていた？

@ザック　トレイルバム GO-ON　
　防水生地の為、インナーにビニール袋をいれて防水すれば雨が降っても問題ない&保水しないから色々助かる。10kgを超えると肩が痛くなる。他の選択肢とも悩んだが、ワイルドワン入間店で実物を見たら格好良すぎて買ってしまった。

@テント　ファイントラック　ツェルト1ハイカーズデポ別注モデル

　テントで1kgオーバーのところを軽量化するためツェルト1を導入。ハイカーズデポで実物を張らしてもらえたのと、土屋さんから直接色々教えて貰え、覚悟を決めて導入。
身長170cmで長さはギリギリ(足りない)。のびのび寝ると、頭か足は幕に接触。
結露は、晴れていれば10時間中に居てもほぼ無し。雨が降って幕が濡れると、透湿性ゼロになるためびちょびちょになる。工夫と諦めでそこはクリア。
どしゃ降りの時の浸水は当然するが、ツェルトの床幕の上にエマージェンシーシートをインナーマット的に使うと良いとハイカーズデポで教わり、実行。事前山行の荒川小屋で人生史上最大の夕立に降られ、ツェルトの中は池になった。しかしシートの中は浸水ゼロの快適そのもので、この組み合わせに自信を持った。

@マット　エバニュー　FPマット100

　昨年から使っていたがうまく眠れた事がなかった。しかしツェルト1を導入した為、マットの高さを低くする事がマストに。何度かツェルト泊を繰り返す内に、頭の高さと体勢を工夫すると、就寝時に高止まりしていた心拍数が低くなって寝ることが出来た。
また、地面の傾斜がある時は、頭を傾斜の上側にしないと自分は寝れないと学習(常識？)。

@枕　シートゥーサミット　エアロウルトラライトピロー

@寝袋　モンベル　ドライシームレスダウンハガー#5

　ゴアの防水の寝袋。保温性は十分。就寝時は行動着と、寒かったらレインを着て寝た。結露した幕に触っても問題ないが、殆ど干さないでいたら、流石に日に日にロフトが下がってしまった。行動中に干しておけば良かった。


@火気　P-116フェムストーブ

@クッカー　エバニュー　MP500 Flat

@浄水器　カタダイン　ビーフリー1L

@ウォーターキャリー　モンベル　フレックスウォーターパック1.0L

@ペットボトル　アクエリアスのボトル500ml×2本

　いろはす等のボトルは自分には柔らかすぎて扱いがシビアだったので、固めのボトルを選択。4日目に片方の蓋の閉まりが悪くなり、ピンポイントに蓋を閉めないと漏れるようになった(笑)。

○ウェアなど

@上　ティートンブロス　アクシオライト半袖Tシャツ
　風か抜けないと乾かないが、乾き始めてから早く乾く。6日間同じものを着続けた。

@ドライアンダー　ファイントラック　ドライレイヤークール　ノースリーブ
　6日間同じものを着続けた。

@下　ティートンブロス　スクランブリングショーツ
　サイドのジッパー付きポケットにスマホを入れたくて導入。結果、GALAXY A55が大きすぎてポケットが使いづらかった為、スマホはショルダーハーネスにポーチを付けて仕舞った。

@アンダーウェア　BRING WUNDERWEAR ONE50/50
　夏は暑い。が、股ズレ湿疹等のトラブルは無し。6日間履き続けたが、臭いは自分では許容範囲(自分では)。

@靴下　アールエル　ワイルドペーパー5本指　2セット
　和紙、麻系のソックスは各メーカーあるが、指の太さや長さ、全体のサイズ感等が結構違う為、色々試した。

@アームカバー　オレノ　アームスリーブUL WOOL
　長袖の行動着は持っていかず、寒い時はアームカバーで長袖状態にした。

@カーフスリーブ　オレノ　カーフプロテクション
　締め付けないタイプのカーフスリーブ。ちょっと短い。草を掻き分けたりすると痒くなるため。

@帽子　キャップとハットを使い分けた。ハットはサロモンのウルトラボブ。風が吹くとツバが跳ね上がって、ハットが飛ばされない設計なんだと思う。もうちょっとツバの強度が欲しかった。

@グローブ　ミレー　QDトレックグローブ
　以前は指ぬきグローブだったが、ガスって風が吹くと指先が寒かった為、普通のタイプのグローブを導入。暑い時でも脱ぎたくなることもなく快適だった。

@防寒着　モンベル　EXライトサーマラップジャケット
　山行中未使用。肌寒いときはトレイルピークジャケットを着ていた。

@レインウェア
　ノースフェイス　トレイルピークジャケット
　モンベル　トレントフライヤージャケット(ゴア)
　モンベル　ストームクルーザーパンツ(ゴア)
　ショーワグローブ　テムレス05

@予備、下山時のウェア　半袖Tシャツ、軽い長ズボン、ユニクロエアリズムボクサー、ラウンドタイプのソックス。

@シューズ　スポルティバ　アカシャ2
　走るのではなければ、自分にはプロディジオよりもアカシャの方が合っていた。シューズの中で足が横方向に力が掛かった時の剛性や、ザレた斜面でのグリップが良い気がする。
4日目くらいから、信じられないくらい臭くなった。ツェルトの中に入れていると寝れないくらい臭ってきた為、乾かすことを諦め、ビニール袋に入れてようやく寝れた。


○食料

@行動食　1時間にSOYJOY1本、4時間に1回味変で柿ピー小袋
　行動食は85時間分用意。ソイジョイはチョコ、サツマイモ、アップルを持っていったが、アップル以外は飽きた。アップルだけ持っていけば良かった。
柿ピーは梅しそとワサビ。
へばった時は行動食を30分に1回にブースト。
朝食は出発時にソイジョイ1本。

@夕飯　カレーメシ　完全メシハヤシメシ
　アイラップに移して持って行った。輸送中に高い確率でアイラップに穴が空く為、新品アイラップを別に用意して2重にして食べた。保温のためにジップロックのスクリューロックアストロフォイル仕様、寝るまでに2つ食べた。

@飲料　水のみ。疲れた時は小屋でコーラを購入した。塩分は一粒でナトリウム100mgほどのヒマラヤ岩塩タブレット。腎臓を信じて、水1Lにつき10粒程度接種。スウェットテストで検索すると、汗1L でナトリウム1000mg位は取っても良いのかと勝手に解釈。

@食料は基本的に全て持っていった。ただ、光岳小屋と百間洞では、疲れとコーラのお釣りを無くす為という名目で(笑)、てかりんご(りんごの砂糖漬け)とアミノバイタルを購入。


○その他

@足の痛み　
　2日目から踵の外側のマメ(踵の肉がつぶれた時に、外側に押し出された皮膚がマメになるのだと思う。)が痛むようになった。キズパワーパッドで誤魔化した。プロテクトJ1は朝のみ使用。
大腿四頭筋が張ってくると膝が痛くなった。つま先と膝の向きを同じにする、着地を前に着きすぎない様に徹底すると収まった。
筋肉が緊張してくると色々痛くなる。
3日目に走ったのも影響したか、TJARの報告書で良く見る｢足を着く度に剣山の上を歩いてるような痛み｣が発生。日に日に一歩一歩が痛くなる。停止した後の歩き出しが特に痛く、少し歩くと痛みが和らぐ。
5日目の甲斐駒ヶ岳から足裏の母趾球の水ぶくれが気になり出す。親指外側のマメも小さな水ぶくれ。
右足の親指から中指にかけて痺れが発生。2週間経過した今も少し痺れている。
山行1週間後位から、足の裏の皮が永遠に向け続ける。3週間経過後も向け続ける。

@体調など
　山小屋のトイレは殆ど和式の為、しっかり出しきる事が自分には難しく、何時も腹の中がスッキリ出来なかった。
4日目、5日目の夜は、寝ている時に腹にガスが溜まってお腹が痛くなる時間があった。うまく流れていく(笑)と痛みは収まった。食物繊維とか取れば良くなったのだろうか？
シューズの臭い対策は何もしなかったが、グランズレメディ等何か対策しないとヤバい。
ザックが荷重オーバーだった3日目位までは肩が痛かった。擦れる箇所にプロテクトJ1を塗り込み対処。4日目以降は肩の痛みは気にならなくなった。
背骨の出っ張る所がザックと擦れてピリピリと少し痛くなった。


@反省点、トラブルなど
　池口岳登山口〜光岳まで水を2Lしか持っていかず、ギリギリだった。
甲斐駒ヶ岳の人気を考慮していなかった為、渋滞して焦る。さらにリサーチ不足で栗沢山からアサヨ峰の数ピーク先まで日差しを避ける所が少なく灼熱。北沢峠から2L しか持っていかなかった水が尽きかける。

甲斐駒の下りで思いっきりコケた。右肘の近くと臀部を強打。痛かったが傷が出来たくらいで助かった。

摂取カロリーは勿論足りなかった。ジェル等のブーストが効く物を、1日2~3本取れる様に準備した方が良かった。カロリー収支がマイナスでも、いかに進めるかが体力造りの鍵だと思う。

ドコモ回線のスマホGALAXY A55 だが、電波を全然拾わなくなった。2日間電波が入らず困った末に再起動したら解消した。

モバイルバッテリーは合計50000mAh準備したが、使い古しのアンカーの20000mAh と新品のCIOの20000mAhでは、定格容量がアンカー13000、CIOは11000mAhと開きがあったようだ。CIO から使い始めたら、スマホを2回充電したらもうゼロになってしまい焦る。アンカーは3回は行けそうだった。両者のバッテリーの重量はほぼ同じだった。

ヘッデンはマイルストーンのMSi1。光量はローで23時間くらい使ったが、バッテリーは1本で大丈夫だった。